EGFが医薬品に相当するという厚生労働省の通知に対する当協会のこれまでの取り組み

2012年7月20日
厚生労働省医薬食品局主催の平成24年度 第1回医薬品の成分本質に関するワーキンググループにおいて、
EGFが「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」に該当するという結論を出されました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002kjhr.html

その根拠としては、Human Epidermal Growth Factor
Enhances Healing of Diabetic Foot Ulcers (Diabetes Care 26:1856-1861, 2003)によると、
EGFは糖尿病性足部潰瘍の治療に効果があり、他の医薬品と同様の作用(血管新生促進作用、組織修復作用等により、
直接的に皮膚潰瘍の治癒を促進する)を持つと考え、このような作用をもつ医薬品は医師の処方のもとで使用されるべきであり、
EGFも処方せん医薬品に相当する成分であると考えられるため、
「判断基準」の一つである処方せん医薬品に相当する成分を含む物に該当するため、専ら医薬品として使用される成分本質に
該当するということです。

つまり、EGFは現在食品でも医薬品でもないので、どちらの範疇に入るかという議論をしたが、海外の論文によると、
血管新生促進や組織修復作用があるため、医薬品に該当する、ということです。

なお、今回議論されているのはヒトオリゴペプチド−1という、遺伝子組み換え技術を応用して製造されたEGFの事を指します。
2012年9月28日
「食薬区分における成分本質(原材料」)リスト」の一部改正に関する意見募集、いわゆるパブリックコメントの募集が行われました。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495120235&Mode=0
(関連情報の中の改正案をクリックするとPDFが立ち上がります。)


当協会が厚生労働省へ確認をしたところ、食薬区分で専ら医薬品となり、食品として使ってはいけないという判断が出れば、
「化粧品規準」に照らし合わせると、化粧品にも使えなくなるという見解を示されました。

一般的にパブリックコメント募集後約半年程度で医薬品の範囲に関する基準の一部改正が行われます。
今回の措置では、改正が行われてから1年の猶予期間を設け、その後食品及び化粧品にEGFが使用できなくなるというものでした。

食品としてのEGFは、遺伝子組み換え食品の問題も絡んでいるため、現時点でも使用する事はできません。
食薬区分で仮に医薬品に相当しないという判断がなされても、その後食品安全委員会の遺伝子組み換え食品の安全審査を受けなければ、
食品として使用することができません。
ですから、現時点で遺伝子組み換え技術を応用して製造されたEGFを配合した食品は存在しないというのが当協会の考えです。

問題は化粧品原料としてのEGFです。
既に広く一般にEGF配合化粧品が普及する中で、EGFが使用できなくなることは化粧品業界全体の経済的打撃が大きいだけでなく、
何の健康被害も無い中でご愛用いただいている皆様への大きな損失になりますので、当協会としては、
このことを軽視することはできません。


そこで、当協会としては以下の3点を中心に取り組んでいくことにしました。

1 ワーキンググループで話し合われた内容、またはワーキンググループの決定の根拠となったDiabetes Careの論文の内容の
 問題点を追求する。
2 食薬区分で専ら医薬品として扱うべき成分本質という決定がなされても、それが直ちに化粧品にも使えなくなるという判断は
 正しいのかどうかを追求する。
3 上記2点が考慮されなかった場合のことを考え、EGFをポジティブリストへ収載することを前提に、その安全性試験の準備を進めていく。

※ポジティブリスト収載手続とは当該リストの改正要請であり、化粧品基準の一部の改正に該当することです。
医薬品に相当するような成分であっても、薬理効果の認められない最大濃度を設定し、その範囲内で使用する限り、化粧品に
配合してもよいという制度です。但し、申請には数千万円〜数億円程度の費用のかかる安全性データの提出が義務付けられています。
 
2012年10月
当協会からパブリックコメントを提出させていただきました。

当協会のパブリックコメント

当協会はEGFの正しい知識の普及と有益な情報提供を一般消費者向けに行っております。このたび遺伝子組み換え技術を
応用したEGF(ヒトオリゴペプチド−1)がもっぱら医薬品として使用される成分本質として新規追加されるようですが、
この経口での区分で医薬品となれば、自動的に経皮(化粧品)原料としての扱いも経過措置終了後できなくなると審査管理課からお聞きしました。
しかしながら2005年以降7年間にわたって大手化粧品会社から中小の化粧品会社に至るまでこの原料を配合した化粧品を
数多く取り扱っており、すでに化粧品原料にはなくてはならないものになっております。また、アメリカはもとより中国、韓国、
またヨーロッパでもこの原料を使った化粧品が製造販売されていることを鑑みても、日本だけが化粧品原料に
使用できないというのはおかしいのではないかと思います。食品として、遺伝子組み換えで作られた原料を
使用することができないというのは一理あるかとは思います。ただ、EGF自体は動物の唾液や乳など天然に存在するペプチドであり、
まずはEGFが医薬品に当たるかどうかを判断したうえで、遺伝子組み換えで製造されるEGFが遺伝子組み換え食品に該当するかどうか
食品安全委員会で審査すべきではないかと思います。化粧品原料としてはアメリカのINCIの基準にもなっているPCPCでは、
大腸桿菌由来のEGFをすでにHumanOligopeptide-1からrh-Oligopeptide-1へ名称変更しています。これは世界的にEGFを
化粧品原料として使っていくために、「ヒト由来」的な表現を避けるためにおこなったものです。ここで化粧品原料に使用できなくなることは、
世界の流れに日本だけが退行することになりますので、医薬品的効果効能を標榜しないのは当然として、化粧品原料としての範囲内で
一種のオリゴペプチドとして使用を続けることが望ましいと思います。
最後になりましたが、食品として遺伝子組み換えされたEGF原料を使ったものが現行日本ではないわけですから、
経口でも医薬品への新規追加は大きな影響はないと思われます。しかしながら、このことによって化粧品原料への使用ができなくなるということは
多くの化粧品関連企業がダメージを受けるばかりか、日本の化粧品業界が世界から取り残されることとなるので、ぜひとも避けていただければと思います。

特定非営利活動法人 日本EGF協会
2012年11月
ワーキンググループでの決定をどうすれば覆すことができるのか、化粧品への配合を継続することができないかということについて、
厚生労働省へご質問いたしました


ワーキンググループでは、EGF=ヒトオリゴペプチド−1というような間違ったとらえ方をされているようで、EGFは、天然の食品に含まれていることもあれば、
ヒトオリゴペプチド−1のように非病原性大腸桿菌由来でできているもの、酵母菌由来でできているもの、また、EGF様成分として、
EGFと同等の生理活性作用があることをうたった成分があることを指摘させていただきました。
また、Diabetes Careの論文は傷口への塗布による効果なのに、どうしてそれが「食薬区分」の参考資料になるのかということ、この論文で使われているEGFの濃度は、
一般的に化粧品で使われているEGFの濃度の2,000〜4,000倍というとてつもなく高濃度であること、EGFとは書かれているが、どこで作られたどういう活性の、
何を宿主として作られたものなのかが一切かかれていないので、この臨床試験は本当に有効なのかということを質問いたしました。

これに対しての回答がありました。

2012年12月
「EGFを医薬品に相当すると判断し、化粧品に使用できないとする厚生労働省の見解についての質問書」を厚生労働省へ提出いたしました。


EGFを医薬品に相当すると判断し、化粧品に使用できないとする厚生労働省の見解についての質問書

2012年7月20日 厚生労働省から、医薬品の成分本質に関するワーキンググループでEGFを専ら医薬品として使用される成分本質に
該当するという結論が出されました。

このときの議事を根拠に「医薬品の範囲に関する基準」の「食薬区分における成分本質(原材料)リスト」の一部改正に関する意見募集を
2012年9月28日から同年10月29日まで行い、近々EGFを「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」への追加を決定する予定です。

この根拠となったワーキンググループの議事は以下のとおりです。

○EGF(大腸菌を宿主として遺伝子組換えにより製造されたもの)
Human Epidermal Growth Factor Enhances Healing of Diabetic Foot Ulcers (Diabetes Care 26:1856-1861, 2003)によると、
EGFは糖尿病性足部潰瘍の治療に効果があり、 他の医薬品と同様の作用(血管新生促進作用、組織修復作用等により、
直接的に皮膚潰瘍の治癒を促進する)を持つと考えられる。このような作用をもつ医薬品は医師の処方のもとで使用されるべきであり、
EGFも処方せん医薬品に相当する成分であると考えられる。
したがって、「判断基準」の一つである処方せん医薬品に相当する成分を含む物に該当するため、
専ら医薬品として使用される成分本質に該当する、という結論になった。


この判断により、EGFが専ら医薬品として使用される成分本質に相当するとなれば、食品として使用できなくなる同時に「化粧品基準」により、
化粧品への配合も認められなくなることについて、下記のとおり質問いたします。

@ 真偽を確認していない海外の論文を根拠に法律改正してよいのですか。

Human Epidermal Growth Factor Enhances Healing of Diabetic Foot Ulcers (Diabetes Care 26:1856-1861, 2003)は、
ホンコン人の作成した研究論文と思われます。Diabetes Careはインパクトファクターが7程度の科学誌で、
NatureやScience誌の25〜30に比べると低い数値といえます。最近はiPS細胞の件も含め、論文の信憑性を問われる事件も多いようですが、
この論文の真偽を確認したのでしょうか。
この研究論文で使用されたとされるEGF濃度は0.02%〜0.04%であり、一般的に化粧品に使用される濃度の2000倍〜4000倍になります。
(たとえば15gのクリームならEGFが3,000μgも配合されていることになります。)これほどまでに高濃度で実験したとされる研究は薬理的効果を
見出したいとする論文発表者が、通常の使用濃度を知らず、闇雲に高濃度にすれば効果が発揮するのではないかという恣意が感じ取れます。
厚生労働省におかれましては、本来国内において集積された信憑性のある有効性データを開示し、その上で判断すべきではないかと思いますが、
どのようにお考えでしょうか。

A 「食薬区分における成分本質(原材料)リスト」で薬理作用があることを理由に専ら医薬品として使用という判断をすると、
自動的に「化粧品基準」により化粧品に使えない原料になるなら、薬理データのそろった原料はすべて化粧品に使用できないということでよいのでしょうか。

ワーキンググループで取り上げた研究論文では、EGFによって上皮細胞が賦活したことを述べており、これを「医薬品的効果」とするのであれば、
現在日本で登録されている植物抽出原料などの多くはこの「細胞賦活効果」を根拠としており各原料会社がデータを公表していることから、
すべからくこれらの原料を「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」への追加を決定し、化粧品原料に使用できないとする決定をするべきであると考えます。
例に示すようにポリアミンにはヒト皮膚線維芽細胞の細胞賦活化作用があるとされ、○○○○にいたってはEGFとまったく同じヒト角化細胞の増殖作用があるとし、
その効果を文部科学省が支援して確認しているとされています。
さらにはある原料会社の原料11種類すべてがEGFと同じ表皮角化細胞増殖作用があると報告しています。
まだまだ他にもEGFと同等の効果がある化粧品原料が数多く存在しますが、これらを「食薬区分における成分本質(原材料)リスト」での判断をすれば、
すべてが専ら医薬品として使用するものという判断をし、さらには化粧品基準をもとに化粧品原料としての使用を禁止することになりますが、
そのようなことが妥当な判断だと考えるのでしょうか。

B EGFの機能はOECD諸国で「整肌成分」と認められているのになぜ日本だけ医薬品扱いになるのでしょうか。

そもそもEGFが日本の化粧品工業会で登録された根拠はPCPC(Personal Care Products Council)に収載されているからであり、
そのPCPCにはEGFを「Skin-Conditioning Agent-Miscellaneous(皮膚コンディショニング剤など)」として登録しています。
OECD加盟国はすべてEGFを化粧品原料として使用しているのに、なぜ日本だけが専ら医薬品として使用される成分本質として区分されるのでしょうか。

以上

2013年1月
厚生労働省へ訪問。
上記質問に対する回答を得ました。
そこで、論文の真偽を覆す資料として、当協会が以前に試験した「EGFの生物活性曲線」のデータと海外論文を提出しました。


ワーキンググループで評価された論文では「EGF濃度0.02%では治療効果は低かったが、0.04%では顕著な治療効果が認められた」となっておりますが、
本来EGFはこれほどまでに高濃度の場合は、オーバードーズといって、高濃度になればなるほどその効果が減っていく傾向があるのでその真偽が疑われます。
そこで、当協会が以前に試験した「EGFの生物活性曲線」を提出しました。
最大有効濃度を過ぎるとEGFの生物活性が減少することを証明しております。
また、過剰EGFによる、EGF作用の低減現象に関する論文(EGF receptor downregulation depends on a trafficking motif in the distal tyrosine kinase domain
Stacie M. Jones, Susan K. Foreman, Brian B. Shank and Richard C. Kurten
Am J Physiol Cell Physiol 282:C420-C433, 2002. First published 31 October 2001;)
も学術論文として提出しました。
2013年2月
ポジティブリスト収載のため必要な安全性試験資料の一部を提出
当協会が扱うEGF原料は幸いなこと中国の医薬品GMP基準で製造された原料であったため、ポジティブリストに必要な安全性試験のうち、連続皮膚刺激性試験、
皮膚感作性試験、皮膚反復投与毒性試験、皮膚一次刺激性試験、皮膚小核試験、培養細胞変異原性試験、復帰突然変異試験の概略を提出いたしました。
2013年3月
吸収・分布・代謝・排泄試験を省略するためには、EGFが経皮吸収されないという論文が必要でしたので、Study on the percutaneous absorption of
recombination human epidermal growth factor (Chin Pharm J,1999 November,Vol.34)を入手し、提出いたしました。
2013年5月
ポジティブリスト申請を前提に厚生労働省へ訪問いたしました。質問内容は以下の通り。

質問1:私たちがポジティブリストの審査をしていただいて、リスト収載されれば、そのときに試験したものとまったく同じEGFしか化粧品で
     使用してはいけないというようにしていただけるのでしょうか。ポジティブリストに収載されれば、どんなEGFでも使ってよいというふうになると
    聞いていますが、それなら、論文のEGFがどんなEGFであっても結果を採用してもいいのではないでしょうか。

質問2:仮に、もし申請するEGF原料を使って我々が新たに試験をし、経皮吸収が1%未満だという結論が出れば、
    ADME試験は省略しても良いのでしょうか。

質問3:どの濃度で試験すればよいのか、今ひとつわかりません。具体的に教えていただくことは可能でしょうか。

質問4:必要な試験を全部することになるようですが、ひとつ確認したい点があります。
    ポジティブリスト収載のためにEGFの使用濃度限界を決めなければなりませんが、その濃度で皮膚に対して医薬品的な効果がないということを
    証明しなければなりませんか。試験を全部して問題なかったのに、最後に「その濃度では医薬品的効果があるからだめだ」
    となるのではないかと危惧しています。

質問5:ポジティブリスト収載のためにはどうもかなり試験費用がかかるようです。「医薬部外品の添加剤」で申請することも
    考えなければならないようです。ただ、その場合、「効果がないことを証明しなければならない」のですが、
    これはどうすればよいのでしょうか。

質問6:昭和46年6月1日付け薬発第476号は経口で摂取する植物と医薬品との区別をするため、専ら医薬品と定義しているだけで
    医薬品として承認されていないものについて、化粧品での禁止成分とするのはおかしいのではないでしょうか。

質問7:2012年9月28日の通知には、『新たに「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」に分類されるEGFについては、
    通知の発出から1年間は、その成分本質(原材料)の分類のみをもって、直ちに医薬品に該当するとの判断は行わないこととする。』とあります。
    該当性の判断をしているだけで医薬品ではない。1年間の猶予期間だけではなく、EGFが医薬品として承認されるまで化粧品に使えるのではないで
    しょうか 。
    すでに数百万個のEGF入り化粧品が販売されており、経済的打撃も大きいのではないでしょうか。

質問8:EGFが医薬品として登録された場合、生物由来製品とされる可能性はあるのでしょうか。
    化粧品基準には、生物由来原料基準(平成15年厚生労働省告示第210号)に適合しない物という規定があります。
2013年5月
「医薬品的効果が無い濃度」を設定するため、海外のEGF医薬品について調査を開始。
下記のデータを入手いたしました。

1.用量(薬理作用を示す濃度または用量)に関する情報
  非臨床試験または臨床試験の結果等、用法・用量または濃度設定の根拠となる資料、等。
2.体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)に関する情報
  添付文書記載内容の元となる資料、等。
3.生殖発生毒性に関する情報
2013年6月
ポジティブリスト収載方針の確認をしました。


基本的には当協会が使用しているEGFを収載させる方針で、その際、同種同効品(他社のEGF)が無条件で使用できることのないように、
当該EGFを規定する「規格」を設定、つまり現在のEGFの安全性と薬理作用発現用量を、調査した医薬品データを引用して説明し、
協会認定EGFの化粧品に配合できる上限濃度を設定するという方向性を決定いたしました。

さらに、化粧品基準収載要領(「ポジティブリスト収載要綱」(医薬審発第325号))の資料概要記載に合わせて
項目について現段階で可能な記載を行いました。
 
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