FGF-7とは

FGFは線維芽細胞のみならずさまざまな細胞に対し増殖、
分化などの活性を示す多機能性シグナル分子である。
現在確認されているFGFファミリーは23種類で、そのうちの
1つであるFGF-7は別名KGFとよばれている。KGFは
日本では角化細胞増殖因子、角質細胞増殖因子、ケラチノ
サイト増殖因子と訳されている。KGF受容体は、舌、口腔
粘膜、食道、胃、腸、唾液腺、肺、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、乳腺、
皮膚 (毛嚢と脂腺)、眼球水晶体といった多くの組織の上皮
細胞に存在していることがわかっており、この受容体型チロ
シンキナーゼと結合して細胞内に シグナルを 伝える。
発毛に関しては、FGF-7が毛乳頭細胞から産生され、毛母
細胞に作用し、毛母細胞の増殖、分裂を促すことで毛髪
成長を させると 解釈されている。

   
   

特許について
日本の特許では表皮ケラチン細胞成長因子の治療目的での使用(特許公表2002−526026)の中で、KGFは
毛嚢の増殖の促進をし、女性のみならず男性型禿頭症でもKGFを用いて治療しうると述べられている。




単純塗布による臨床実験

FGF-7(KGF)は別名発毛促進因子とも呼ばれ、多くの発毛研究に利用されている。しかし、FGF-7の発毛薬理作用を
うたったり、説明した発毛剤が販売されているが、実際はFGF-7を誘発するといわれている成分が配合されている
だけで、 FGF-7はまったく配合されていない。また、FGF-7をただ頭皮に塗るだけで発毛するかということに関しては、
言及された論文ない。学術的にも発毛促進因子とよばれ、試験管内ではさまざまな発毛促進が見られるものの、実際の
臨床実験のデータはほとんどないのが現状である、それらのもっとも大きな理由は、E.Coli由来の遺伝子組み換えに
よって発現したヒトFGF-7凍結乾燥品は実験用試薬が2μg(200IU)で2万4千円と異常に高額で、1日400IUを
90日間投与し続けると被験者1名につき432万円ものコストがかかってしまうからである。正確な実験結果を得るためには
少なくとも 男性10名女性10名の被験者が必要となり、その結果コストは8640万円となってしまう。 
ではFGF-7の発毛臨床実験はコストに見合うだけの効果がえられないのかというと、そうではない。なぜならば、FGFの
レセプターはこれまで4種類が見つかっており、FGF-7はそのうちのFGFR-2受容体の第三ループがVbであるものに
よく結合することが知られているが、このFGFR-2受容体のVbをもつものは、主として上皮系細胞に発現するため、
FGF-7が毛嚢までとどけば十分その効果を発揮できると考えられるからである。すなわち、通常の化粧品用担体
(一般的には水溶液)にFGF-7を配合したものを頭皮に塗布するだけで、発毛の効果が十分期待できるのである。
ちなみにこのFGFR-2受容体のVbをもつものはFGF-1とも結合するが、FGF-2とは結合しない。よって医薬品である
FGF-2は健康な上皮に塗布しても活性を示さないのである。
以上のことより、FGF-7は、傷を負っていない健康な頭皮に外部から塗布するだけで、毛穴から浸透し、毛嚢までたどり
つけば、VbをもつFGFR-2受容体と結合し、活性を示す、つまり、発毛を促進すると考えられるのである、
当協会では高額な費用がかかるため過去にだれも行わなかったであろう外来性FGF-7でのin vivo発毛実験を行った。
使用したヒトFGF-7はE.Coli由来の遺伝子組み換え組成物(凍結乾燥粉)で、CAS No 126469-10-1 Technical 
Name FGF-7 (KGF)、INCI NAME Human Oligopeptide-5 である。日本では2006年10月に日本化粧品
工業連合会より表示名称ヒトオリゴペプチド−5として化粧品原料登録された成分である。
具体的な方法
被験者をA,B,C,Dの4グループ各10名にわけ、Aは男性で1日400IUのFGF-7を頭髪に塗布、Bは男性でFGF-7の
入っていない溶液を頭髪に塗布、Cは女性で1日400IUのFGF-7を頭髪に塗布、Dは女性でFGF-7の入っていない溶液を
頭髪に塗布するとした。


溶液はFGF-7入りとFGF-7なしで見分けがつかないよう、無色透明の粘性のある水溶液とした。具体的にはA,
C グループ には水、BG、FGF-7、ヒアルロン酸Na、水溶性コラーゲンを処方、B,DグループにはFGF-7を配合せずに
あとはまったく同じ 処方とした。容器はバイアルビンで、A,Cグループは60mLの水溶液に対してFGF-7を12,000IU
配合し、 B、Dグループには FGF-7を無配合、使用方法は、1日1回2mL(FGF-7としては400IU)を清潔にした頭皮に
直接塗布し、 軽くマッサージする。 合計3本使用で、使用前と3ヶ月後の頭皮の状態をチェックした。
つまりA,CグループにはFGF-7を 1日400IUを90日間 投与し続けたことになる。


被験者は全員20歳代後半〜60歳代前半の薄毛を気にしている方で、以前に様々な発毛剤や発毛サロンにかよった
ことがあり、実験時には発毛剤等の使用を一切していない状態で行われた。

まず、実験開始時に最も気になる薄毛の部分を観察、3ヶ月後にもう一度観察し、毛量(本数)、毛髪の太さについて
調べてみた。
◎・・・顕著に改善 ○・・・改善 ×・・・効果が見られなかった

Aグループ 男性 FGF-7 400IU/日

 

毛量
毛髪の太さ
38歳
45歳
×
52歳
×
29歳
41歳
60歳
×
×
53歳
39歳
×
28歳
35歳


Bグループ 男性 FGF-7 無添加

 

毛量
毛髪の太さ
54歳
×
49歳
×
×
30歳
×
62歳
×
×
28歳
×
×
61歳
×
×
34歳
50歳
×
×
49歳
×
×
37歳
×


Cグループ 女性 FGF-7 400IU/日

 

毛量
毛髪の太さ
39歳
30歳
54歳
43歳
×
46歳
62歳
32歳
34歳
61歳
×
46歳


Dグループ 女性 FGF-7 無添加

 

毛量
毛髪の太さ
55歳
×
×
28歳
×
33歳
×
50歳
×
52歳
×
×
29歳
×
×
40歳
36歳
×
×
60歳
×
×
43歳

男性の場合FGF-7を塗布したAグループでは毛量で70%毛髪の太さで80%が改善し、女性の場合
FGF-7を塗布したCグループでは毛量で90%毛髪の太さでも90%が改善した。特に女性はどちらかの
効果があったのは100%となり、効果の高さが証明された。プラシーボ実験としてのBグループ、Dグループは
あきらかにA,Cグループと差があるが、特に女性Dグループで多少効果が多かったのは、水溶液に配合した
ヒアルロン酸やコラーゲンが、頭皮の環境を改善した可能性があると思われる。またAグループの男性の場合、
新たに発毛した毛髪の一部が白髪だったケースが3件あり(いずれも40歳以上)、今後黒色化するかどうかは
課題が残った。

顕著な発毛例

Before
After

実験協力 (株)ラ・フィーネ

なお、FGF-7はKGF(角質細胞増殖因子)でもあるため、頭皮に使用し続けることで、薄くなってたるんだ
頭皮の角質細胞自体を作り出し、頭皮自体を引き締めることで、お顔全体の見た目のたるみを改善するのでは
ないかと思われ、「顔の印象が若返ったか」「顎のラインがシャープになったか」という質問をCグループに のみ
行ったところ、以下のような結果が出た。

○・・・そう思う     ×・・・そうは思わない
Cグループ 女性 FGF-7 4μg/日

 

顔の印象が若返った
顎のラインがシャープになった
39歳
×
30歳
54歳
43歳
×
46歳
62歳
×
32歳
34歳
61歳
×
46歳


結果は発毛効果とほぼ重なるが、100%が顔の印象が若返ったと実感している。これにより、
FGF-7を頭皮に使用することで、発毛だけでなく、顔全体のたるみを改善し、
顔の印象が
若返るということも立証された。

FGF-7以外のFGFファミリーと発毛の関係
FGF-7以外のFGFファミリーには発毛に関係するといわれている因子が何種類か存在する。その中には、
発毛に対してポジティブ(発毛促進)であるFGF-1、FGF-10やネガティブ(脱毛促進)であるFGF-5が知られている。
毛髪の成長抑制の鑑別法(特許公開2001−286299)では、「毛成長の休止期から成長期への移行期において、
aFGF(FGF-1)の産生乃至はaFGFのmRNAの発現が抑制されているモデルにおいて、育毛剤の投与によりこの様な
抑制が改善され、aFGFの産生が高まれば、この様な育毛剤に於いては男性型脱毛症の改善或いは予防作用があると
鑑別される。」と記述されている。つまり、aFGF(FGF-1のこと)は毛髪が成長している時期には発現しており、aFGFが
発現しない部分には毛成長がないということを証明している。つまり、FGF-1もFGF-7と同様に、発毛促進因子としての
作用があることになる。FGF-5については、FGF-1やFGF-7とは少し作用関係に違いがあるので以下に記述する。
ノックアウトマウス実験について(FGF-5とFGF-7のちがいについて)
発毛の定義とは、「頭髪が増えること」「細くなった頭髪が太くなること」であり、まちがってはいけないのは、「頭髪が
長くのびること」ではない、ということである。たとえば少なく細くなった毛髪がいつまでも抜け落ちずに長く伸びても、
まったく意味がないということである。近年脱毛因子であるFGF-5の働きを阻害することで、発毛効果をうたった商品が
でまわっているが、はたしてFGF-5の働きを阻害すると、発毛するのであろうか。FGF-3〜23の多くにノックアウト
マウスが作製されている。ノックアウトマウスとは、一部の遺伝子を破壊(ノックアウト)した実験用マウスのこと。
特定の遺伝子のはたらきや、新薬の効果を調べるのに利用される。たとえば、ある遺伝子ついて調べたいとき、その
遺伝子を破壊したマウスを遺伝子操作でつくり、正常なマウスと比較して異常な点を発見すれば、その破壊した
遺伝子の機能がわかる。生まれつき高血圧になるノックアウトマウスをつくり、新薬の高血圧への効果を判定したり
するなどして活用されている。FGF-7のノックアウトマウスは毛包形成に異常が生じた。つまりFGF-7が、毛包形成を
おこなう活性をしめすと解釈できるのに対し、FGF-5のノックアウトマウスは毛が長くなる表現系が観察された。
つまり、FGF-5の働きを阻害しても、発毛するのではなく、単に毛が伸びるということになる。FGF-5のノックアウト
マウスを写真で見ると、通常より毛が長くなっているが、これは本来マウスの毛が、ある一定の長さからそれ以上
長くならないのに、FGF-5のノックアウトマウスの毛は必要以上に長くなっているという証拠である。しかし毛量
(本数)が増えたわけではない。結論からいえばFGF-7は発毛促進するのに対し、FGF-5の阻害は毛を長くする
だけであるといえる。